ヘッダー写真:「お米の学校2021」でのひとコマ
(写真:星野リゾート提供)
第2回は、
『星野リゾート リゾナーレ那須』の
総支配人・松田直子さんのもとへ
私たちがお伺いしました!
●
私たちのつくるポン菓子の『イナポン』をご利用いただいたり、ホテルのお客様に農業体験(アクティビティ)を提供する「お米の学校」に周年で関わらせていただいております。
●
若き総支配人・松田さんの
「仕事観」「チームづくり」
そして「アグリツーリズモリゾート」
という新しい旅のコンセプトへの挑戦
「これまで」と「これから」の旅路に
一緒に連れ出してもらいましょう!
生産者発!おコメの出会いを辿る旅
(インタビュー日:2021,12/7)
お話をお聞きする人
星野リゾート リゾナーレ那須
総支配人:松田直子さん
▮ 那須と松田さんの接点
パフじろう__
いま、星野リゾート リゾナーレ那須さんは、開業して何年になられますか?
松田__
開業したのが2019年11月です。いま2年と1ヶ月が経ちました。(2021年12/7現在)
開業して半年ほどして、総支配人になりましたので、いきなりコロナで苦しい時期に入りました(笑)
星野リゾート リゾナーレ那須 の施設
POKO POKO(写真:星野リゾート提供)
パフじろう、パフまりこ__
開業、いきなりで大変でしたね!
松田__
そうなんです。一時は本当にどうなるかと心配しましたが、お客様やグループ全体のメンバーに支えられて、なんとかここまでこられました。
パフまりこ__
松田さんは、星野リゾートさんが、那須にホテルをつくられることになった時に、どのあたりから関わっておられたんですか?
オリジナルのバッチと、素敵な枝豆のブローチ
松田__
開業前からですね。
2017年頃、当時は熱海にいたんですが、那須でリゾナーレブランド(※)のホテルをという話が持ち上がり、コンセプトづくりから関わってきました。
熱海では、アクティビティユニット(お客様への体験を提供する部門)の仕事をしてきたので、そういった意味でも、那須でどんなアクティビティができるだろうと知恵を出し合っていました。
パフじろう、パフまりこ__
なるほど、開業よりも前の企画段階から関わっておられたんですね!
松田__
元々、私はキャンプとかが好きなので、海よりも山派なんです。7年、熱海に勤めたので、もうそろそろ山へ!と思って、那須がいいなと思っていました。
田んぼから那須山を望む
(写真:星野リゾート提供)
▮「アグリツーリズモ」という旅のスタイル
パフじろう__
へぇ〜。キャンプがお好きだとは!
そんな中で、ホテルのコンセプトが、農業を軸とした「アグリツーリズモ」(※)というテーマになったのは、どういったところからだったんでしょうか?
アグリガーデン 後ろに見えるのは
「グリーンハウス」
松田__
一番初めの頃は、ホテル敷地内に畑と田んぼとビニルハウスがあったので、それで「収穫体験とかができたらいいよね」という話が出て「ハーベスト」というキーワードが出たんです。
ただ、実際に考えてみると、野菜などの収穫って、一年の中で時期が限られてしまうし、そのタイミングに合わないと、体験ができないお客様も出てきてしまう。そうなると、本質的ではないなって思いまして・・・
パフまりこ__
それから、どうされたんですか?
松田__
そもそも施設のある那須の魅力ってなんだろう?と調べ始めたんですね。
そうすると、那須は観光業と同じくらい、林業や畜産、農業などの一次産業がエリア全体で活発に行われている地域だとわかってきて
農作業の風景(稲作本店)
パフじろう、パフまりこ__
うんうん。
松田__
星野リゾートのコンセプトの中に、「いかに土地の魅力をお客様に届けるか」というのが出発点としてあるんですが、そうした視点で、那須にある、ファミリー向けのリゾナーレというブランドとして、どういったことが相応しいだろうかということから、一次産業に関心が向かっていったんです。
パフじろう、パフまりこ__
素敵です!
松田__
ただ、農業で宿泊となると、日本では、「民泊」や「グリーンツーリズム」のイメージが強くあると思うんです。
パフじろう、パフまりこ__
確かに。それはありますね。
松田__
そこに、星野リゾートならではの価値を届けていきたいと思いまして、世界に目を向けたんです。
そうすると、イタリアでは行政の取り組みで、過疎が進む地域を活性化するために、滞在しながら農に触れる旅というものを実践している例がありまして、それを「アグリツーリズモ」というコンセプトで提供していることがわかってきました。しかも、それがヨーロッパ全体の中で、「旅のあり方の一つ」として定着していたんです。
日本には、「アグリツーリズモ」という言葉は、ほとんど知られていません。
けれども、新たな旅のスタイルとして、「農」に「リゾート」を組み合わせて行くことで、都市のお客様にとっての「ハードルの低さ」であったり、「快適性」を兼ね備えた形で、リゾートホテルが「アグリツーリズモ」をやるというコンセプトで、日本初の「アグリツーリズモリゾート」 星野リゾート リゾナーレ那須という形にまとまっていきました。
リゾナーレ那須のコンセプトイラスト
(イラスト:星野リゾート提供)
▮ 開業して、見えてきた風景とは
パフじろう__
なるほど、そういう経緯でアグリツーリズモだったんですね〜!収穫体験以外の楽しみを農で提供されるというのが、とても新しいですね。
そうした中で、当初考えていたコンセプトと、いま実際に運営なさってきて、いまどのくらいの位置に来ていると思われますか?
松田__
正直、まだまだですね〜。
パフまりこ__
え〜、まだまだなんですか〜。この完成度でもですか?
アグリガーデン内にある「グリーンハウス」にてインタビュー
松田__
もちろん、大切にしている柱は4つ据えていまして、
1つ目は、農作物を育む原風景に親しめるようなアクティビティやイベントがあるかどうか。
2つ目は、食の視点で、地域の美食を楽しめるかどうか。
3つ目は、森の中に佇む客室棟での滞在というものを提案できているかどうか。
4つ目が、農の体験以外でも自然に親しめる提案
という4つなんですが、それぞれに、もっとできることがあるなぁと思っています。
実際に始めてみて、稲作本店さんのような生産者さん達と出会えたことで、レジャーとしての農業だけではなく、その裏側にある生産者の方の「想い」をお客様に届けるということも、「アグリツーリズモ」の醍醐味だと考えています。
「お米の学校2021」で、
お客様と対話するパフまりこ
(写真:星野リゾート提供)
その土地の人と交流ができて、そこで住む人の想いや、生活の一端を垣間見られること。
地元で頑張っておられる農家の方の想いを、少しでもお客様に届けられるというのは、すごく大きな前進できたし、「アグリツーリズモリゾート」というコンセプトをより深めていくことができたのは、すごく良いご縁をいただけたなと思っています。
パフじろう、パフまりこ__
嬉しいです。こちらこそ、ありがとうございます!
松田__
「アグリツーリズモ」という言葉は、英語・イタリア語圏ではGoogle検索で「グランピング」を上回るヒット数になっているんですが、日本国内ではまだまだ浸透しきれていない状況です。
そうした意味でも、国内での需要を掘り起こして広げるところまでできていないなと思っているので、そこはチャレンジの途中ですね。
気持ちの良い空気が流れる、アグリガーデンを歩く
あとは、農体験と聞いて、「何が収穫できますか?」という風にいらっしゃるお客様も多いのですが、それ自体は素敵なことですが、やはり収穫以外の楽しみや価値を楽しくお伝えしていけるように、もっとイベントやアクティビティをつくっていかないといけないとも思っています。
パフまりこ__
実際、昨年宿泊させていただいた時に感じたんですが、ホテルって普通、日中は外で遊んできて、夜に眠りに来るというスタイルなのが、リゾナーレ那須さんは、チェックインからチェックアウトまで、ずっとホテルの中で滞在する。時間を過ごす。というスタイルで、本当に1日中遊べるんですよね。1泊では足りないくらい。そこに驚いたんですが。
季節ごとに内容が変わるワークショップ
収穫だけではなく、種まきも体験できる
POKO POKOではピッツァ焼き体験も
(写真:星野リゾート提供)
外で遊んでいただくのももちろん素晴らしいと思いますが、ホテルとしては、ファミリーで見たときの親御さんって、外に出かける場合は、計画を立てないといけないですよね。
パフじろう、パフまりこ__
あ〜、わかります!わかります!
松田__
お子さまの機嫌を伺ったり、お昼寝の時間を逆算したりといったところを考えても、敷地の中でいろいろ楽しんでいただけるホテルというのは、大人の方のストレスも軽減できるのではないかと。そして、四季折々リピートしていただけたら嬉しいなと思っています。
夢中で遊ぶ子どもたち
(写真:星野リゾート提供)
パフまりこ__
ほんと子育て世代にはありがたいですね!
▮ 田んぼから、メッセージを届ける
パフじろう__
先ほど、生産者の「想い」を届けるという部分が深掘りできるようになってきた。というお話があったんですが、私たち稲作本店が関わらせていただけるようになったのは、最初はイナポンの納品からでした。
松田__
イナポンは、最初はスタッフの紹介からでしたよね。地域の生産者さんがつくられているものをショップスペースでお取り扱いしたかったので。
フロントで販売されるイナポン
パフじろう__
ちょうど、僕たちもイナポンを発売したての頃でした。ありがたいお話で、パッケージも星野リゾートさんに置いていただくにはと、開業されるタイミングに間に合うようにデザインを一新したんです。
松田__
え〜。そうだったんですね!
パフじろう__
それから、イナポンはビュッフェでの朝食にもご利用もいただいたり、年末のプレゼント企画でコラボさせていただいたり。すっかりお世話になっています。
その後、お客様向けのアクティビティ「お米の学校2021」でもご一緒させていただくお話になっていったのは、どういう流れからだったんでしょうか?
ホテル施設内の田んぼできたお米で作ったコラボ「いなぽん」
松田__
もともと、施設全体としてどういうメッセージを伝えていくか、どういうことに取り組んでいくかを考える中で、代表的なアクティビティは何だろうと考えていました。
最初は「田植え」や「稲刈り」という案は出ていましたが、「ハーベスト」から「アグリツーリズモ」へとコンセプトが固まった中で、農業の一部分ではなくて、年間を通じて「営み」を感じていただけるような取り組みを、畑や田んぼでしていきたいと考えていました。
そして、開業1年目には「畑」をつくり、2年目には「田んぼ」へと着手していく中で、本格的に関わっていただきたいということで、稲作本店にお声がけさせていただいたんです。
パフじろう__
大変光栄です!それでも、稲作本店にお声がけいただいたのは、何がきっかけだったんでしょうか?お米を作っている農家さんは那須にはたくさんおられると思うんですが。
松田__
そうですね〜。やっぱり、イナポンのリーフレットをお読みする中で、お二人の理念や想いが伝わってきたんです。私たちは単なる利害関係だけではなくて、「想い」を持った方と、未来に向けて一緒に語って、長く続けていけるようにしたいと思っていたんです。
キャベツ畑で3人一緒に
人が交流したり、活動している風景全体が、アグリツーリズモリゾートが織りなす風景そのものになっていくといいなと思って、お二人にお声がけしました!
あぜ道が交流の場となり、風景となる
(写真:星野リゾート提供)
あとは、那須の若い方々の横のつながりが強くて、例えばChusさんや森林ノ牧場さんなどとのつながりがあることも安心感もありました。
パフまりこ__
なるほど、那須にはアツい方が多いですよね。地域をより良くしていこうという雰囲気があります。
松田__
最初に那須に来た時に、みんな一体感があって、感動しました。
▮ 松田さんから見た稲作本店
パフじろう__
ところで、リゾナーレ那須さんや、松田さんから見て、稲作本店ってどのように見えていますか?
松田__
すごいカッコいいです!
新しい企画にもオープンに受け止めてくださるし、田んぼでキャンプや田んカフェなども含めて、新たなチャレンジにとてもポジティブに、楽しみながら取り組まれている姿勢は、私たちも見習わなければならないと思っています。
稲作本店が実施する「田んぼでカフェ(Tancafe)」
パフじろう__
そうですか〜。とにかく、お米はどうしようもない状況なので、古いこと言っていたらどうにもならないから「騒ごう!」という感じなのですが...
松田__
それがいいと思います。とにかくカッコいいと思ってもらえるようになったらいいですよね。そうしたら勝手に伸びていく流れになると思うので。
あとは、プロだなと思います。ちゃんと1つ1つの取り組みや想いをお持ちで、それを2人でしっかりとやられているのがカッコいいと思います。
パフまりこ__
ありがとうございます。お恥ずかしいです。
▮ 関わる方の貴重な人生の時間を価値に
パフじろう__
お話は戻りますが、「アグリツーリズモリゾート」が、年を追うごとに進化し続けていく中で、これから、リゾナーレ那須さんはどんな施設を目指されていますか?
松田__
メンバーには常に言っていますが、「ここに来て良かった!」と言ってもらえる施設を目指したいです。それは、お客様も、お取引さまも、スタッフにも、一緒に時間を共にできてよかったと思っていただけたらと。
ホテル運営というのは、関係してくださる皆さまの貴重な人生の時間の一瞬をお借りして行っている活動なので、それに値する価値があると思っていただける施設になりたいですね。
旅行とかリゾート施設は、人生に不可欠ではないけれど、人生を豊かに彩るにはとても大きなものだと思うので、関わる方のひとときでも人生に彩りをもたらせたらと思っています!
様々な経験の中で、想いを語る松田さん
パフまりこ__
若くして女性総支配人になられて、憧れている方も多いと思うんですけども、松田さんとして、これからのビジョンは何か、おありなんでしょうか?
松田__
私自身、大きな野望はないんですけれども、常に学び続ける姿勢は持ち続けたいですね。
そして、一緒に働くメンバーが、ちゃんと疲れた時には疲れたと言える雰囲気だったり、悩みをしなやかに受け止められるようなチームづくりができたらいいなと思います。
パフじろう__
実際、僕たちがメンバーの方々と接すると、いつもおだやかであたたかい雰囲気なんですよね。怒りを感じないし、接していて、「一人の人」としてみてくださるのがとても心地いいんです。
ホテルのメンバーが60人もおられるとのこと。そのTOPとして心がけていることは何かありますか?
気持ちの良い笑顔の 小鷹さん
松田__
星野リゾートのカルチャーとして、入社したころからずっとあるのは、「ミスを憎んで、人を憎まず」ということですね。
ミスそのものよりも、「ミス自体が起こってしまった要因を取り除くこと」を優先しようということを大切にしています。
あとは、苦手をさらけ出せるオープンさ。そして、苦手分野と得意分野をチームで補い合える関係であることを大事にできたらと思っています。
アクティビティは、チームメンバーで協力してつくる
(写真:星野リゾート提供)
パフまりこ__
なるほど〜。あとは、若くして、しかも女性が総支配人になれるというフラットさが星野リゾートさんのカルチャーにはありますよね。
松田__
星野リゾート52施設中15人が女性総支配人です。(2021年12/7現在)
会社全体が大きくなってきたのは、ここ最近のことなんですが、女性支配人が増えていっていますね。とても心強いです。
パフまりこ__
なんと〜。素晴らしいです!
松田さんは、社内立候補して総支配人になられたということなのですが、実際になられてみていかがですか?
施設の上空から。後ろに見えるのは那須山
(写真:星野リゾート提供)
松田__
今まで見えていなかった視点が見えてきた気がします。
自分も含めて「わからないことをわからない」、「できないことをできない」と言える関係。そういう風土をつくれると、自分が支配人をしていた価値として、未来へつながるのかなと思います。
あとは、ちょっとだけ「腹をくくれているかどうか」の差なんじゃないかなと思いますね。
パフじろう__
なるほど〜。松田さんのお話をお聞きしていると、やっぱり背景にある「想い」というものを大切になさっているように思うのですが、お仕事の中で大事にされていることってどんなことでしょうか?
松田__
やっぱり、楽しみたいですよね。
こなさなければならない「タスク」として仕事を捉えるのではなくて、少しでも何か未来への「価値を生み出すことに関わっている」と自分を思い込ませる。自分で自分をモチベートするところが、楽しめる部分になっていくのかなと。
あとは、新人時代に上司に「ピンチはチャンス」という言葉を染み込まされたので、単純なのでいつもそう信じています。そうなるとチャンスしかない!という捉え方ですね(笑)
笑顔が素敵な 松田さん
パフじろう__
いや〜、素敵なお話ありがとうございます!
少しでも何かを未来への価値を生み出すことに関わっていると自分を思い込ませる。まさに、仕事の本質をお聞きできたように思います。
そしてまた来年も「お米の学校」などで、引き続きよろしくお願いいたします!本日は、ありがとうございました!
あちこちで素敵な照明が光る
●
インタビュー後記
どこまでも謙虚で、笑顔で誠実にお答えいただく松田さん。その笑顔の裏には数々の苦労があるはず。お客様、メンバー、そして私たちのような関係者への想い。全方向に対して「価値ある時間を」とおっしゃる中に、松田さんが一番大切にされている「本当」があるんだと感じました。
その人、その人の「本当」にアクセスしていくこと。
皆様も、
ぜひ一度体験されてみてはいかがでしょうか。
稲作本店 パフじろう
_____
ホテルの総支配人の「想い」と
農家の私たちの「想い」
そこには、業種を超えて
通じる「想い」があるように感じます。
一緒に未来を語れるということ。
発信するメッセージで、つながり合えること。
こうして、新しい世界をつくっていけると
勇気をいただきました!
お米離れでも、
やれることはたくさんある。
お米から、未来を
『米を作るな、未来を創れ!』
これからも稲作本店のチャレンジは続きます。
長文、お読みいただきありがとうございました。
「おコメ旅」 次回もお楽しみに!
●
ご意見、感想などお寄せください!
メンバー全員で励みにします!!
※ ※ ※
ホテルに泊まりたい方
『星野リゾート リゾナーレ那須』さんで
素晴らしい顧客体験を!
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(写真上下とも:星野リゾート提供)
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稲作本店にご興味のある方
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